不動産業の分類は?

今回は不動産業の分類についてお話します。
実は「不動産業」たくさんの種類があります。一口に不動産屋さんと言ってもコンビニよりも数が多く得意分野や立ち位置も変わってきます。それによって、影響がある法律等も異なってきますので全体的な位置を把握しておく必要があります。
公式的な分類

「日本標準産業分類」によると不動産業は大分類では「不動産業,物品賃貸業」にカテゴリされ、その中でさらに「68 不動産取引業 」「69 不動産賃貸業・管理業」「 70 物品賃貸業」に細分化されています。
(参照:e-Stat/統計で見る日本)
不動産取引業はさらに3つに分類されていますが、主に「売買業」と「代理・仲介業」に分かれます。また、不動産賃貸業・管理業もさらに細分化されますが、主には「賃貸業」と「管理業」に分かれるといってよいでしょう。
実は不動産業と宅建業は厳密にいうと異なります。
不動産業の中でも「売買業」と「代理・仲介業」が宅建業に当たります。「代理・仲介業」には賃貸仲介も含まれます。
言い換えると「賃貸業」と「管理業」は宅建業ではありません。そのため、宅建業法の規制に対しては規制外となります。
不動産の業務の流れ

不動産業界をさらに深く理解するためには、不動産がどのような流れで動いているのか把握することが大切です。
不動産の流れは
「開発」→「流通」→「管理」
と大まかに考えればよいでしょう。
商品→販売→メンテナンスと考えればわかりやすいのではないでしょうか?
開発業
不動産開発は一般的には「ディベロッパー」とも言われることも多いかと思います。分譲地やマンションの建設用地を仕入れて、建物を建てそれを販売していく業者です。(貸すことももちろんあります)
広大な土地を購入したり、マンション建設が可能な用地を仕入れたりしますので資金力が必要になってきます。
また、大規模でなくてもいわゆる「不動産買取」を行って販売している中小の規模の業者もたくさんありますが広い意味で言えば開発業の一つにもあたるかもしれません。
ユーザーから見れば「売主業」ということになります。
流通業
次は「流通業」です。
こちらが皆さんがイメージされる不動産屋さんのイメージに最も近いのではないでしょうか?
「代理・仲介業」というように代理店のように動くこともあります。イメージは小売店ですね。
ただし、物件の実体を販売しているわけではありません。「物件情報」を販売しているといっていいでしょう。契約当事者は、売主と買主ですので、仲介業者はあくまでマッチング業者です。
言い換えれば、在庫販売しているわけではありませんので独立開業しやすい業種でもあります。
売主業者も自社で販売活動している業者ももちろんありますが、不動産は高額なため在庫を抱えることは大きなリスクです。そのため、自社で販売するだけではなく流通業者を通じて一般のお客様に販売してもらうことも多くなります。
管理業
建物補修や入居者への対応が主な仕事となります。
管理手数料は一般的には家賃の数%ですので、収入としては大きくありませんが仲介業と違う点は「ストックビジネス」であるということです。原則継続した収入となりますので、単価が低くとも件数(管理戸数)が多くなればまとまった安定収入となるのが魅力です。
賃貸業

いわゆる「オーナー業」です。自己所有の物件を貸し出して、賃料対価を受け取るということです。
管理を管理業者に委託している場合は、自分でやることはほぼないでしょう。
そのため、個人でも会社でも副業的にやっているところも多くなります。
兼業

実際にはそれぞれ実は別の業務なのですが、兼業して「総合不動産業」として運営している不動産業者も数多くあります。
開発業、流通業、管理業のそれぞれにメリットデメリットがあります。
また、「元付」「客付」という分け方もできます。「元付」とは提供側=売主、貸主(オーナー)であり、「客付」とはユーザー側=買主、借主のことを指します。
それぞれが、入れ替わることもありますのでそれが不動産業界のイメージをややこしくしている一因かもしれません。
まとめ
不動産業を分類してみました。
不動産業=宅建業と捉えられがちですが、実際の不動産業は幅広い分野がありそれぞれ管轄・規制している法律も異なります。
また、それぞれの分野の関連性は高いので仲介×管理など兼業している場合も多くなります。
開業後すぐは分野を特化した方が良いかと思いますが、不動産業でしっかり収益をあげていこうとするならば業態を拡げていくことも将来的には視野に入れておきましょう。