不動産経営について②広告費/ファネルの考え方

今回は不動産経営の「広告費/ファネルの考え方」についてお話します。

前回記事をまだ読まれていない方は、こちらもご参考ください。

フロー型の事業形態である不動産仲介事業において広告宣伝は非常に大切な項目です。ストック型の事業形態とは異なり、固定収入があるわけではないので原則的には常に新規顧客が必要な状態です。

新規顧客から問い合わせ獲得にかかる費用は既存顧客からの問い合わせ獲得の数倍と言われており、当然ながらハードルが高くなります。

言い換えると、不動産売買仲介事業においては「新規を取り続けなければならない」ということになります。

以下、不動産売買仲介事業において広告費用の考え方をお伝えしていきます。

売上対比率

まず、広告宣伝費用はどれぐらいを目安とすれば良いのか?ということですが、これも諸説あります。ただし、一般的に言われている売上対比数パーセント程度では特に開業当初認知が無い状態ではほぼ反響はないことでしょう。少なくとも売上対比10%以上の予算を考慮しておきましょう。特に開業当初は予算比率を上げた方が良いかと思います。

開業当初売上の見込みが立っていない状態で費用をかけて広告宣伝していくことには不安を感じるかもしれません。しかし、ニワトリが先か卵が先かの話になってしまいますが全くの新規で始める場合はお客様がゼロの状態です。

かけることができる予算もあるとは思いますが、事前に事業計画において予算を確保しておきましょう。

また、昨今ではSNSで集客したいと考える経営者の方も多くいらっしゃるでしょう。

しかし、SNSはSNS広告とは違います。SNSは元々はコミュニケーションツールですので、広告的な要素が過ぎるとユーザー離れが生じます。また、SNS内にコミュニティを築くにもある程度の時間がかかるでしょう。

もちろん、スマートフォン利用がコミュニケーションの前提となっている現在ではSNSによるアプローチは有効な手段ですが、早期の立ち上げを考えると広告の活用も併用を検討しましょう。

年間広告予算

事業計画を作成するうえで、年間広告予算の配分は重要です。

不動産は「季節商売」でもあります。以前に比べて、又賃貸分野に比べては季節要因は少ない傾向はありますがそれでも多少の季節要因は存在します。

一般的に1月~3月は不動産の繁忙期です。

また、8月と12月は閑散期と言われます。

以前に比べて、平準化してきていると言われているもののそれでも年明けからの需要は他の時期に比べて大きいものでしょう。

広告予算との関係で言えば、当然繁忙期は予算を増やし閑散期は予算を減らすことが原則です。また、意図的に逆張りすることも先述の一つです。

年間計画を考えるうえで、季節要因も考慮しておきましょう。

CPA

次はCPAという考え方です。

これはマーケティング用語となりますが、1件の顧客を獲得するためにかかった費用の事を指します。Cost Per Actionの略です。

CPAがいくらなのか?ということを把握しておくことはとても重要です。

CPAが想定よりも高かった場合、広告戦略が上手くいっていないことになりますし、CPAが想定よりも低かった場合効率的に集客できていることになります。つまり、広告戦略の効果測定をする評価指標だと考えていただければと思います。

ちなみに、CPAは購入顧客と売却顧客で言えば売却顧客の方が割高となります。つまり、売却顧客獲得の方が難しいと言えるでしょう。

また、地域差も生じます。一般的に競合企業が多い場合はCPAが高くなり、競合企業が少ない場合CPAが低くなります。都心部には同事業を行う競合が多く、地方部には少ないと想定されます。

つまり、これらはご自身の事業環境によって左右される変動要因とも言えます。

標準的なCPA金額は不動産売買の場合数万円程度かかります。しっかり、予算確保しておきましょう。

ファネル分析

ファネルとは「じょうご」のことです。

反響→案内→買付→契約などと契約にいたるまでにはステップがあります。ステップごとに次のステップに進む割合は100%ではありません。

次のステップに進む確率を高めるために様々な施策が必要です。

広告に関していうと先ほどのCPAと同時に「成約CPA」も把握しておくことが必要です。つまり、1件の契約をするためにかかった広告宣伝費はいくらなのか?の確認です。

この「成約CPA」×「契約件数」が売上対比率でいくらになるかを計測し、当初予算と比べて良かったのか悪かったのかを振り返り、次に活かしましょう。

まとめ

不動産仲介事業における損益計算書は単純です。

仕入原価がかかりませんので、営業経費が支払要因です。営業経費のうち「人件費」「家賃」等は原則固定費のはずです。つまり、一旦走り出すと変更可能なのが広告宣伝費のみとなります。だからと言って、特に開業当初にケチっていては顧客は増えません。

適切にコントロールする指標を知って、事業活動をしていきましょう。