不動産開業の業務準備⑤(ポータル/自社サイト制作)

ポータルサイト

不動産ポータルサイトとは、各不動産会社の物件情報を広告としてまとめたサイトです。

各社それぞれのコンテンツや編集方針によりまとめられており、整理された情報はユーザーにとって見やすく分かりやすい情報です。

また、業者目線で見ると広告媒体となります。運営会社自体がCMなど多額の広告費を使って大量に宣伝してくれるため、インターネット上で上位表示される可能性が高く、そこからの集客力が期待できます。

ポータルサイトの特徴

不動産のポータルサイトは数多く存在します。ここでは代表的な3つをご紹介します。

SUUMO

リクルート社が運営する代表的な不動産ポータルサイトです。

at home

不動産ポータルサイトの中では歴史が古く、レインズが登場する前の昭和40年代から存在しています。

ライフルホームズ

こちらも代表的なポータルサイトです。(以下、home'sとします)

ポータルサイト同士の連携

さて、各ポータルサイトの詳細は各サイトをご確認いただければと思いますが、ポータルサイト各社の特徴とは別に頭の隅にいれておくと面白い情報です。

各ポータルサイトはそれぞれで運営していますが、実はデータ連携している場合が多いのです。

例えば、at homeはyahoo不動産と連携しており、home'sはジモティという別サイトと連携しています。(※掲載時点です。変更の可能性はあります)

またnifty不動産はポータルサイトのポータルサイトという構成に事実上なっています

各種ポータルサイトの情報がnifty不動産に集約されています。ですので、例えば他社分析の際は効率的に情報収集できるでしょう。

ポータルサイトを活用するポイント

上位表示される仕組みを知る

不動産ポータルサイトは、業者目線で見ると広告媒体なので掲載するには広告費を払って掲載枠を購入する仕組みです。

不動産仲介では同じ物件を複数の業者が取り扱うことは数多くあります。

その場合、ポータルサイトの中で「違う業者が同じ物件を扱う」という現象がありえます。基本的にWebサイトは上から順番に閲覧してきますので、一覧表示された場合上位に表示されるほどお客様の目に留まりやすいでしょう。

この「上位表示のルール」「アルゴリズム」の詳細は完全に公開されているわけではないので、ブラックボックスな部分もあります。しかし、主には「名寄せ」式か「代表物件」式の公開方式に分類されます。

・「名寄せ」式のポータルサイトは、一覧表示をした場合同じ物件なのに複数の違う業者が掲載されている場合があります。その優先順位は「スコア」と呼ばれる独自の加点方式で、表示順位が決定します。

・「代表物件」式のポータルサイトは「同じ物件であれば代表となる一社が一覧表示され、その下に紐づく形でそれ以外の会社が掲載される」方式です。

ポータルサイトに掲載する場合は、同じポータルサイトに掲載する他社の3C分析が必須です。他社よりも上位表示されなければ、お客様の目に留まることができないので、「ルール」を熟知して、戦っていきましょう。

課金ルールを理解する

ポータルサイトも様々なものがあり、課金方式も各社によって異なります。

主には「枠課金」と「反響課金」に分類されます。

詳細の課金ルールは各社にご確認いただければと思いますが、ここではそれぞれの課金方式のメリットとデメリットを理解しておく必要があるでしょう。

「枠課金」のメリットとデメリット

枠課金のメリットは固定費用になるので、広告費の計画的な運用が可能になることです。裏を返せば、当月の費用対効果が合わない時があったとしても固定の支出になります。

「反響課金」のメリットデメリット

反響課金のメリットデメリットはその逆です。

1件の反響当たり〇〇円という課金になるので、反響実績に応じた費用になりので少なければ料金は抑えられます。

注意点は「上限設定の抜け漏れ」や「反響の濃淡の見極め」です。

反響課金型のポータルサイトは上限設定できるものが多いと思いますが、抜け漏れがあった場合は「請求書を見てビックリ」ということもありえます。また、ランクの低そうな顧客からの反響でも1件は1件ですので、同様に課金されてしまいます。

ですので、「枠課金」「反響課金」のメリットデメリットをそれぞれ理解したうえで、広告費の計画を立てていきましょう。

当初は仕方ないが、依存しない

不動産仲介営業において集客はポータルサイトが全盛です。

新聞折込やポスティングでも集客している店舗もありますが、ユーザーの大半はインターネットしかもスマホページからの集客が大半です。そこで検索で上位表示されるのがポータルサイトなので、開業当初からしばらくはポータルサイトの力を借りることは大いに有効です。

しかし、依存することは危険です。

当然ながら、ポータルサイト運営会社も営利企業です。

オプション等など上位表示されるために課金を増やしてくれる掲載企業は優遇します。ですので、一定以上から上位表示するためにはさらなる資金投入が必要です。ポータルサイト内で他社と競争させられているわけです。

さらに、突如の値上げも可能性があります。ポータルサイトでの集客が常識化している現在は完全に売り手市場です。

そのため、いつまでも依存が続くと際限なく集約コストが上がり続けるでしょう。

自社ホームページ

そこで、ポータルサイトと同時にオープン当初から強化しておくべきは自社のオリジナルホームページです。不動産においては主に下記2つの分類ができるでしょう。

コーポレート(検索)系

購入を検討しているユーザーがまず欲しい情報は物件情報です。

従って、自社サイト内にて物件情報を検索できる機能はあったほうがよいでしょう。ただし、物件情報を掲載しているだけではSEO対策上も上位表示されることは難しいでしょう。

ここで大切なことが今までの3C分析を踏まえたホームページの「コンセプト」です。

どのようなお客様に来てほしいのか?そして、そのお客様から問い合わせをしてもらえるために必要な情報は物件情報だけなのか?という視点を持って誌面を構成していくことが大切です。

そのためには「ブログ記事」やその他のコンテンツで顧客を「教育」する必要があります。いわゆる「コンテンツマーケティング」という分野の強化が非常に大切になってきます。

自社物件があるからだけでは、もはや差別化できません。インターネット上で接客するイメージが大切です。

ランディングページ

ランディングページとは大きく2つの意味合いがあります。

一つは「1枚もののホームページ」という意味です。もう一つは、「着地する(ランド)ページ」という意味です。

ここでは一つ目の「1枚もののホームページ」という意味合いについて説明していきます。

先ほどの通り自社のホームページ作りでは他社と差別化できるコンセプトが必要です。

ペルソナはSEOにも関わってきます。

欲しい顧客=欲しいキーワードが顧客層によって異なるからです。

従って、同じホームページの中で顧客層が異なる購入顧客向けのコンテンツとと売却顧客向けコンテンツが混在しているとコンセプトがぶれるのです。SEO上もキーワードが異なります。

そこでコーポレート(検索)型ホームページとは別で1枚ものの売却専用ページ=ランディングページを作る不動産会社が増えてきています。

特にオープン当初自社物件が少ない場合は、売却のお客様を集客して自社オリジナル物件を作っていくことは大切です。売却するお客様を掴むことで購入客も集客しやすくなります。そこで、売却と購入の両方に仲介に入れば双方から仲介手数料を受領できます。これにより、通常の倍額の手数料が手に入ります。

売却のランディングページにおいてもコンセプトが重要です。

どのようなお客様に来てほしいのか?そのお客様が問い合わせをするのに十分な情報量は掲載されているか?がポイントになります。

開業当初で知識が無い場合はテンプレートを活用することも有効です。

多くの売却ランディングページは「査定」価格に注目が行きますが、お客様のニーズはそれだけではありません。

不動産売却に特化して内容が細分化されたニーズに回答できるテンプレートは無料ではなかなか存在しません。制作時間もコストですので、まずは簡単に発信していきたい方は参考にしてみてください。

一括査定サイト

次に一括査定サイトについて説明します。

「一括査定サイト」は不動産売却の査定を複数の不動産会社に依頼できるwebサービスページです。

査定依頼のあった会社は「机上査定」と言って物件場所付近の相場をベースに査定額を出すことが多いかと思います。実際の査定金額は物件を見て判断することになるのでそこから査定訪問を数社からうけて、その中で一番高い金額で提示した不動産会社と媒介契約を締結して販売活動を依頼するパターンが多いかと思います。

購入客と同様にこちらも集客力のある一括査定サイトが売却顧客集客の中心となっていますが、いろいろ弊害もあります。

一括査定では当然業者間で査定金額を競わされることになります。従って、一番高い査定金額を提示した場合、受託を任される確率は高くなります。それを競っていくうちにどんどん査定金額が高くなっていきますが、実は問題点があります。

相場とどんどんかけ離れた「査定金額」になって結局売れないまま数カ月過ぎて、結局値下げしてしか売れずに無駄な時間がかかった、というのはよく聞く話です。

売主様は「早く」「高く」売りたいという方が一般的です。時間が掛かっても高く売りたい方ももちろんいますし、相場より高かったら絶対に売れないのかというとそういうわけでもありません。

問題は「査定金額」だけで勝負していることです。査定金額は業者選びの一つの基準ですが、そこだけの勝負にならないように違う面でも自社の強みをPRできるようにしておきましょう。

ホームページはあるだけではただの箱

ファーストビューPC用

さて色々とサイトについて説明してきましたが、ここで重要なお話です。

タイトル通りですが「ホームページはあるだけではただの箱」なのです。

いまだにホームページを作れば反響があると思っている方もいらっしゃいます。しかし現実的にはホームページは無数に存在するわけですので、その中で自社を見つけてもらうためには対策をしなければならないことは自明かと思います。

ホームページは作ってからがむしろ勝負です。SEO対策、リスティング広告など聞かれたこともあるでしょう。お客様とホームページという点を線で結ぶことが大切です。

ご興味がある方は、弊社でもご相談を承ることができます。ご希望の方は下記からご一報ください。

まとめ

現在の不動産集客のポータルサイトとホームページについてお話してきました。

ポータルサイトや一括査定サイトは、運営会社に集客力がある場合とても有効な媒体です。ただし、依存すると費用高騰を招くこともあったり、査定価格競争に巻き込まれることもあります。ポータルサイトと並行して自社ホームページやランディングページを必ず準備して対策しておきましょう。