不動産開業の流れ 業務準備①マーケティング(ペルソナ/カスタマージャーニー)

今回から不動産開業の実際の準備についてお伝えしていきます。

手続き的な準備もですが、営業的な準備も必要です。特に戦略もなしに開業して事業が好転することはほぼないでしょう。

不動産の営業準備について様々な考え方がたくさんありますが、今回から「マーケティング」について数回に分けてお伝えしていきます。

これからの不動産業に必要な考え方

不動産業界は閉鎖的な業界と言われます。また、情報のオープン化やITも遅れています。(いまだにFAXが多用されています)

しかし、お客様の行動形態は進化しています。
少し前まではチラシ等を見て興味がありそうな物件があれば問い合わせをして来店していました。もちろん、その行動の流れが全くなくなったわけではありませんが、現在どのような媒体を見て問い合わせをするかというと「SUUMO」などのポータルサイトです。そして、SUUMO以外にももちろんスマホで各不動産会社のホームページを確認しています。

ポータルサイトや各社のホームページは工夫をこらして物件情報や生活環境の情報、買い方など物件を購入するために必要な情報を競って掲載しています。

以前と何が変わったのか?

以前は「とりあえず来店してから」営業マンに問い合わせ以外の物件情報(例えばネット不可物件)やローンの組み方などの情報を得ていましたが、ネット掲載が前提となり極端なことを言えば営業マン要らずで購入決定をすることもできます。(得ている情報が正しい前提ですが)

つまり、問い合わせの前に勝負が決まっていることが多いのです。

そのために、まずは数ある不動産会社の中から自社のネット媒体にアクセスしてもらわなければいけません。その意味で言うと、これからの不動産では営業そのものよりもマーケティング(=営業に会う前段階)のほうの重要性がより高まっていくでしょう。

FAXがいまだに流通している不動産業界ですが、お客さまから見ればそのようなことは関係ありません。ネット対応できない不動産会社は検討する前に知りません。

以前にマーケティング発想が無かったかと言えばそんなことはありません。

集客→教育→販売

という3つのステップがモノが売れる流れです。以前は、集客後すぐ販売or教育を営業マンが担っていましたが、現在は集客→教育までのプロセスをネットで済ましています。その変遷に気づかず集客→販売という強引なフローを行っている場合も少なくありません。

発想が変わらずに営業活動を行っていたとしても、成果は上がってこないでしょう。

マーケティングとは?

さて、ではマーケティングとは?という話をしていきます。

「マーケティングとは」という定義については諸説あります。それぞれ見解も異なるでしょう。

ここでは、「誰に」「何を」売るのかというプロセスのうち対面営業にあたる手前までの活動全般という事にしましょう。

つまり、お客様が家を買おうor売ろうとなった時から内見や査定などになる手前のフロー全てという事です。

3C分析とは

では、まず何から始めていけば良いのでしょうか?

マーケティングの書籍は大量にありその内容も多岐にわたっていますが、難しく考える必要はありません。もちろん、大企業のマーケティング部門でデータを駆使してというのもマーケティングですが今回は少人数で独立して開業される方を想定していますので、そこまで複雑な知識が実際に必要でない場合もあります。

興味がある方はマーケティング関連の専門書を見て頂ければと思いますが、基本となる考え方の一つに「3C分析」があります

一般的な3C分析の手法や解説は他の記事や書籍に譲ります。本記事では不動産事業を立ち上げるに際して最低限の知識や不動産売買仲介業の場合にはどうかんがえるか?という見解をお伝えします。

顧客分析

自社分析

競合分析

原則この順番に分析していきます。それをすることによって効果的な集客や成約率の向上に役に立つことでしょう。

顧客や市場を知る

「誰に」の部分です。

来るお客様はもちろん幅広くお受けしたら良いのですが、「差別化」をしていくうえでは「総合店」より「専門店」の方が特長を出しやすくなります。資本力がある会社はもちろん「総合店」で出発しても良いのですが、お客様のニーズが多様化した現代では「専門店」化した方が対応しやすいでしょう。もちろん、結果的にターゲット外のお客様が来ることはありますので、その場合はもちろん対応します。

不動産業における「専門店化」はいろいろパターンがあります。

「売買仲介専門」「中古住宅専門」「売却専門」など、様々な区切り方があります。

カテゴリーや方針を決めると、それにあわせたお客様をターゲティングします。

この時に必要な考え方が「ペルソナ」と「カスタマージャーニー」です。

「ペルソナ」

いきなり横文字が2つも出てきて違和感を感じられたことでしょう。

マーケティングをやっていく上で、専門用語をしっておくと更に調べるときに検索しやすいですのでついてきていただければと思います。

ペルソナとは理想とするお客様像です。

「ターゲット顧客」という考え方に近いかもしれません。

違いはターゲットは20代、女性等に分けていきますが、ペルソナはよりイメージを具体的にまるで一人のお客様を想定して設定します。「山田太郎さん」「32歳」「住所は●●」など詳細に設定していきます。

それにより、

・ターゲットより具体的に対策が立てやすい

・誰にでも共有認識がしやすい

などの設定メリットがあります。

「カスタマージャーニー」

二つ目は、「カスタマージャーニー」です。

カスタマーはお客様、ジャーニーは旅行です。つまり、お客様が問い合わせ前からどのような流れで自社を知り、契約をされるかという一連の流れのことを指します。

ペルソナで設定した「山田太郎」さんがLINE登録して、そこから自社HPにアクセスして物件問合せをして、ご契約されましたという流れです。

ペルソナを詳細に設定することで、そのペルソナの行動に応じた効果的な施策を展開することができます。的外れな集客・マーケティング活動をしていても成果はあがりません。

お客様がどのように考え、どのような行動をされるかという仮説をしっかりたて、適切な対策をしていきましょう。

まとめ

これからの不動産業にはマーケティング発想が不可欠です。

お客様はネットで情報収集しアクションをされるからです。

今回はまず3C分析の「カスタマー」=お客様についての分析方法を説明しました。

参考にしてください。