不動産開業で失敗しないために(未経験から独立をするメリットデメリットは?)

今回は「不動産開業で失敗しないために」というお話をします。

未経験から不動産開業独立をしようとした場合やはり不安になるのはよく理解できます。

「本当に成功するのだろうか?」「もし失敗したらどうなるのだろうか?」という心理は経営者にとってどこかでずっと抱え続けるものでしょう。

そこで今回は失敗しないためにまずはよくある失敗例を取り上げます。その後、それでも独立する場合にはどのような考え方をすればよいかお伝えします。

よくある失敗例

よくある失敗例を挙げていきますが、もちろんここで網羅できるわけではありません。ただし、ここで取り上げた項目は典型的なものです。こうならないように事前に情報収集しておきましょう。

運転資金の枯渇

まずは「運転資金の枯渇」です。

これは不動産業に限ったわけではありません。不動産仲介業は「手数料商売」ですので、いわゆる「仕入原価」はかかりません。それにもかかわらず、開業後数カ月で閉鎖に追い込まれる企業も数多くあります。

不動産業は約12万社あり、コンビニより多いのです。また、簡単に開業できるため撤退率も高くなっています。

運転資金が枯渇する要因は事業計画が適切でなかったことと、やはり最初は数多く動くことが特に大切です。
事業計画を作っていないことは論外ですが、その中で売上の見込みが甘く設定していれば出ていくものは出ていきますので、売上以上に経費がかかれば赤字です。赤字の累積が補てんできなくなった時点でゲームオーバーです。

また、テナント確保後開業許可がおりるまでは「空家賃」となります。つまり、その間は営業できないにも関わらずテナント費用はかかります。

事前に固定費の約半年分ぐらいは必ず確保しておきましょう。そしてその期間は特にがむしゃらに売上を上げることに集中して一刻も早く黒字転換できる体制をつくりましょう。

準備期間不足

不動産開業は免許さえおりれば可能です。

しかし、準備不足のままNoプランで戦えるほど甘くはありません。現在不動産業の集客は大半がポータルサイトといわれるweb広告媒体です。ただ掲載するだけではなく、マーケティング発想を持って戦略的に仕掛けることが大切です。

広告宣伝費をケチる

3つ目のよくある失敗例は「広告宣伝費をケチる」です。

広告費は一般的には変動費であるため、活動予算を抑えたい場合削られることが多い項目です。
しかし、特に開業当初は誰も知らない状態です。誰も知らない状態また信用もブランドも無い状態で自社を知ってもらうためには、即効性のある広告宣伝をする必要があります。

最近はSNSで集客するというひともいますが、SNSは無料の広告媒体ではありません。またSNSは成果が出るまである程度時間も必要です。

過去に不動産関連のお仕事をされていて人脈やルートがある場合はそれでも良いかもしれませんが、特に開業当初は予算をケチらずにしっかり広告発信をしていきましょう。集客がなければ営業できません。

人材マッチング

人材のミスマッチも失敗する大きな要因です。

開業当初は同じ目的に向かっていき良いよく走れますが、少し落ち着いてくるとモチベーションにも変化があります。経験者未経験者というマッチングの考え方もありますが、理念や方針をしっかり打ち出してそれに対して理解をする人材を採用しましょう。人材のミスマッチの結果、リスト流出や近隣に独立出店など後味の悪いトラブルもなきにしもあらずです。

未経験からでも失敗しないためには?

では、失敗しないためにはどうしたらよいでしょうか?

簡単に言えば、よくある失敗例の逆をすればよいのです。失敗しないように予防すれば解決できることも多いはずです。事前の予防策として、検討項目を列挙しておきます。

動機をよく考えよう

まずはここで改めてなぜ独立したいのか?よく考えてみましょう。動機を再度自己認識しておくと、厳しい局面でも正しい判断がし易くなるでしょう。

「儲かりそう」「自由に仕事がしたい」など様々な要因があると思います。意外としっかり考えていない方もいらっしゃいますが、動機が理念となり、会社の文化を作る根本となります。

紙に箇条書きでもよいので、整理してみましょう。

独立するメリット

不動産で独立開業するメリットはたくさんあります。

「儲かる」というのも一つかもしれません。不動産仲介業は物件情報のやりとりですので、事業運営するにあたり「仕入原価」がかかりません。つまり、それだけ利益率が高くなりやすいということです。

「自由に仕事ができる」という事も魅力です。自分の意思決定で物事を進めていけることは仕事をするうえで大きなモチベーションになるでしょう。

独立するデメリット

デメリットかどうかは分かりませんが、リスクは当然あります。

自由に仕事が出来るという事は言い換えれば全て「自己責任」ということになります。

良くも悪くも自分次第となりますので、覚悟は必要となるでしょう。

家族の協力

独立されるにあたりご家族の協力は不可欠です。開業準備期間はもしかしたら帰宅も遅くなるかもしれませんし、資金的なことでリスクや負担もかかることもあるでしょう。

それだけに動機をしっかり整理することが必要です。安易な気持ちではなく、しっかり事業として「こういう不動産業をやっていきたい」という事に対して理解してもらう事が重要でしょう。

資金調達

運転資金を枯渇させたいためには準備段階での事業計画に基づいた資金調達が必要です。

そのためには簡単な経理の知識も必要です。

経理の知識

詳しい経理やファイナンスの知識があるにこしたことはないのですが、最低限必要なのが簿記3級レベルの知識です。中国では社長のことを「代表取締役経理」との別称もあるぐらい、経営者にとってお金の管理はとても重要です。

最低限事業計画書を作成する際にも「損益計算書」は読めるようになっておきましょう

また、ここでファイナンスについて強くなっておくと管理業に進出した場合オーナーに提案できる幅も大きく広がるでしょう。

独学で勉強する場合は書籍やYouTubeもありますが、独学の地震が無い人はスクールに通ってみるのも良いでしょう。

銀行対応

銀行から融資を引き出す力です。言い換えると「プレゼン力」と言っても良いかもしれません。

助走期間をもつ

まずは小さく始めましょう。いきなり大きなテナントや数多くのスタッフは必要ありません。

自分の手の届く範囲から少しづつ進めていきましょう。

退路を決める

開業前から廃業の事を考えるのもなんだかなぁという気もしないでもないですが、優秀な経営者は撤退ラインを決めています。出口戦略と言っても良いでしょう。

累計赤字が取り返しがつかないほどになる前に、撤退ラインを決めておきましょう。

不動産仲介業は撤退しやすいのも魅力です。もちろん、上手くいくように行動していくのですが最悪の想定もしておきましょう。

広告宣伝について

広告宣伝費にいくらまでかけるのかはその会社次第です。これも諸説ありますが、最低でも開業当初は売上対比10%以上の予算を確保しましょう。20%説もあります。データ等を見ると業界平均3~5%というデータもありますが、それが平均であればそれ以上に広告宣伝しないとまだ誰も貴社の事をしりません。

損益分岐点の考え方

そして、広告宣伝費も無軌道に無尽蔵に使っていいものでもありません。ここで必要な考え方は損益分岐点売上高の考え方です。広告費を毎月「固定費化」して損益分岐点売上高がいくらになるか算出しておきましょう。その中で広告宣伝費をコントロールしていきましょう。

人材は極論採用してみなければわからない

身もふたもないことを言いますが事実です。応募側は当然面接ですので自己アピールをしてきます。ウソはいけないことですが、お化粧はするでしょう。

また、良い悪いではなく貴社の理念や方針などに合わない場合もあります。

逆に言うと小さな店舗の時から数十人を採用するわけではありません。応募があった中から自社の理念や方針を理解して働いてもらえる人を採用しましょう。

まとめ

必ず失敗しない保証などはもちろんありません。ただし、開業するために「動機」「資金計画」「自社のスタンス」を明確にしておくと予防につながることも多いでしょう。

上記参考になれば幸いです。